今回は、私達が今期より新たなビジョン(ゴール)として掲げている、
「すりあわせ」技術を追求するオンリーワン企業
についてその大義をお伝えさせていただきます。
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皆さんが子供の頃に、プラモデルを作った経験があると思います。
あらかじめ部品一式が用意されたキットを買い、設計図に従い組み立てるので、
設計図どおりに制作すれば同じものが出来上がるはずですが、
なぜか作る人により完成度に違いが生じます。
それは各作業工程において、理屈ではなく感覚でしかわからない
微妙な調整が入るからなのです。
この微妙な調整こそが「すりあわせ」の原点と言えます。
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「すりあわせ」を広辞苑でひくと二つの意味があります。
ひとつは、「高精度な平面を作るための手仕上げ作業のことで、
表面を擦合わせ定盤で擦り合わせ、きさげで削って仕上げることを指すもの」。
ここにはモノづくりに向かう匠の技が見えてきます。
もうひとつは、「それぞれの意見や案を出し合い調整していくこと」。
これには最高の成果を導くために知恵を出し合って協力していくという精神が
みてとれます。
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われわれの業界、つまりハードウェア、ソフトウェアの相互関連性が強い
技術開発分野においては、ある機能を実現するためには、
ハードとソフトの役割分担や機能の振り分け、コストの問題、開発時間の問題、
製品化されたあとの操作性やメンテナンス性など、
さまざまな制約条件を解決しながら開発作業を進めていく必要があります。
また、開発フェーズの各段階で、技術者が顔を突き合わせ、
それぞれの意見や案を出し合い綿密に調整し、
さらに開発途中での市場状況の変化による急な製品仕様の変更など、
緊急事態にも対処しなくてはなりません。
こうした、要求仕様を満たす完璧な成果を導き出す美しい解決策に重要となるのが
「すりあわせ」という作業であり、当社では「すりあわせ」技術の追求と呼ぶことにしたの
です。当社にとっての「すりあわせ」は、匠の技、知恵、調整の総合力と言えるでしょう。
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昨今、企業を取り巻く環境は不確実に変化しており、社会に対して求められる役割
も急激なスピードで多様化・高度化しています。
例えば、産業用途向けの業界全般においては、
マーケット規模の増大とともにモジュール化・水平分業化へ向かうことが余儀なくされ、
日本企業が得意としてきたすりあわせと垂直統合化による高付加価値、
製品差別化の戦略実施が容易ではなくなってきました。
換言すれば、コモディティ化への対応のために質だけではなく量の拡大が同時に
要求され、両立させた企業のみが勝ち残っていく時代となってきたのです。
私たちはこうした変化に適切に対応しながら事業活動を続けていかなくてはなりません。
今までと同じやり方を続けていたのでは、
いずれは企業の存在意義を失う可能性があるのです。
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こうした時代背景を視野に入れ、「すりあわせ」技術を追求していくには、
当社独自の「すりあわせ」の概念が必要であると考えています。
いままで常識とみなされてきたこと、
あるいはありえないと思われてきたことなどにも再度目を向け、
全ての可能性を再検討し、仕組みを再構築することが求められています。
そうしたことを実現するため、我々の考え方をひとつのスローガンにまとめ、
新たな旗印として掲げることとしました。
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「Rethink the Possibilities」
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直訳すれば誰でもわかる「(その)可能性を再考します」ということですが、
すでに習熟している作業や過去に成功した方法を、
違った視点で考えていく姿勢を意味しています。
自分たちのビジネス、お客様のビジネス、自分自身のこと、相手のこと、
すべて再度万物との関わりを見つめ考えなおす中で、
自分の存在意義、ビジネスの新たな意義が改めて見えてくるのではないか。
そういう意味での「rethink」という言葉への思いの深さを感じています。
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「Rethink the Possibilities」をスローガンに掲げ、
「すりあわせ」技術を追求するオンリーワン企業になる。
これがわれわれイクスの大義=ミッションなのです。